監査法人での非常勤の働き方の、多様な活用法を紹介【やってみて分かった】

監査法人非常勤職員の1日の働き方と、年間スケジュール

公認会計士・税理士の藤沼です。

私は独立直後から、監査法人での非常勤で働いていました。

実際に働いてみると働き方は多種多様。
色々な人がいましたし、色々な働き方がありました。

そこで本記事では、監査法人での非常勤としての働き方について、多様な活用法を紹介します。

実際に働いてみて感じたことなど、実体験満載でお送りしますので、ぜひ最後まで読んでください。

この記事を書いた人

1986年生まれ(38歳)
公認会計士税理士

2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅コンサル事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表


目次

監査法人での非常勤の働き方

監査法人での非常勤の働き方は、人によって異なります。

ここでは、次の方々に分けて働き方を解説します。

監査法人での非常勤の働き方
  • フリーランス(非常勤メイン)の方
  • 主婦の方
  • 独立開業して間もない方
  • 大学生の方

フリーランス(非常勤メイン)の方

最近は、フリーランスとして非常勤をメインにする公認会計士がかなり増えています。
めちゃくちゃ稼げますからね。

非常勤をメインにするのであれば、アサイン日数は120日以上は確保したいところです。

監査法人側の需要によってアサイン日数は異なりますが、これは求人への応募時に確認することができます。
「60日程度」という求人が比較的多いですが、「30日程度」「120日以上」など法人によって需要はバラバラです。

年間120日程度働く場合は、一般的なサラリーマンの半分だけ働けば良いことになります。

つまり、週3日働けば年間120日を超えます。

なお後述しますが、これだけで年収1,000万を超える可能性があります。(更新中)

正直、かなりユル~イ生き方ができます。

逆にもっと稼ぎたい方は、フル(年間240日)で入ればこの倍稼げます。

ただし、非常勤職員をフルタイムで雇う監査法人は少ないので、後述する監査法人の掛け持ちをする必要が出てきます。(更新中)

主婦の方

子育てをしながら非常勤として働く主婦の方は、かなり多いです。

具体的には、次のような働き方ができます。

主婦の方の非常勤としての働き方
  • 繁忙期だけ集中的に働く
  • 時短勤務で働く
  • 往査先を選んで働く
  • 家で働く

監査法人は時間・働く場所を比較的コントロールしやすく、主婦の方にとって働きやすいため、非常勤の女性比率はかなり高いです。

時短勤務に対応している監査法人が多いため、子供の保育園への送り迎えもできます。

クライアント先を考慮してくれる監査法人が多いため、遠隔地へのアサインを避けやすいのも良い点。

また、リモートワークに対応できる監査法人であれば、出社せず家で働けます。
ただし、規模の小さな監査法人ではリモートワークに対応できないケースが多いので注意。

独立開業して間もない方

私がこのケースですが、独立開業して間もない方も生活費を稼ぐために非常勤をします。

ただし、あまりにアサイン日数を増やしすぎると本業に割く時間が減りますから、本業を成長させることができません。

私の場合、独立開業直後は年間60日で契約しました。

この契約によって非常勤だけで年間300万円~400万円は稼げますから、最低限、生活費としての収入は確保できる計算です。

ただ、60日のアサインでも結構飽きます。

アサインは通常、四半期レビュー・年度監査の時期に集中し、話すことも特になくなってくるんですよね。

本業とのバランスをうまく保つには、30日~60日を目安にすると良いと感じます。

逆にあまりアサイン日数が少なすぎると、職員とのコミュニケーションが浅くなり、仕事を紹介してもらえるような関係性を築きづらいです。

本業が軌道に乗ったら、徐々にアサイン日数を減らしましょう。

大学生の方

大学生の方は、公認会計士試験に合格した後、入社までの間「学生非常勤」という形で監査法人で働きます。

学生非常勤では第一に学業を優先されるため、大学の授業日程が決まった後に、アサインOKの希望日程を提出します。

無理にアサインを多く申請する必要はなく、無理のない範囲で希望を出せますし、遊びたければ全日程をNGにすることもできます。

また、学生非常勤はJ1とほぼ同様の扱いですので、大学生であってもクライアント先に往査するケースは普通にあります。

ただし、長時間残業させられるケースは少ないです。
学業に支障が出ると色々マズいですし、補習所もありますからね。

繁忙期は人手不足なので(法人・チームによっては)来てほしいと言われることもあるでしょう。

しかし、何も知らない学生がいきなり繁忙期に来ても、忙しすぎて誰も教えることができません。
そのため、できれば2月頃から入っておき、準備しておくのが望ましいです。

なお、学生非常勤は内定した監査法人で(入社を前提に)働ける制度ですので、当然、監査法人の掛け持ちなどはできません。

関連記事:公認会計士の学生非常勤は時給が良いけど、デメリットもあるので注意!

監査法人の非常勤で働いていた私の感想・体験

先に前提として、非常勤をしていた時の私の経歴・契約内容を載せておきます。

筆者の略歴・契約内容
  • 監査法人での実務経験:4年半
  • 監査の年間日数:60日
  • 1日の勤務時間:6時間
  • アサイン先:2社
  • 残業:平時はゼロ、決算期のみ1日2~3時間

EY新日本監査法人で4年半ほど監査を経験し、その後独立し、とある中小監査法人で年間60日の契約をしました。

非常勤職員としての年間アサイン日程は、次のとおりです。

勤務日数
1月8日
2月3日
3月なし
4月11日
5月11日
6月5日
7月8日
8月3日
9月なし
10月8日
11月3日
12月なし
(合計)60日

このような日程・スケジュールです。

私の場合は、四半期レビューと期末監査の繁忙期(人手の足りなくなる時期)にアサインされています。

期中におけるJ-SOX監査など、あまり面白味のない業務にはアサインされませんでした。

※ 非常勤への需要は、四半期レビュー・年度監査に集中します。

1日の働き方

私の場合は、ほぼ残業なしで働きました。

これは私の希望ではなく、契約先の監査法人の方針です。

ただし、期末監査時は1日2~3時間の残業が発生しました。

1日の働き方(閑散期)
  • 10時に出社
  • インチャージから作業の指示を受ける
  • 12時にお昼休憩
  • 13時から仕事再開
  • 17時に退社

6時間勤務&残業ほぼなしという超ホワイトな監査法人法人だったので、10時から17時まで働いて退社できました。

クライアントから近い場所に住んでいることもあり、9時半ごろに家を出れば十分間に合います。

閑散期の残業はゼロ。

体への負担はほとんどなく、むしろ楽しいとさえ感じました。(もちろん、配慮して頂いているインチャージの方のおかげもあります。)

1日の働き方(繁忙期:4月~5月)
  • 10時に出社
  • 12時にお昼休憩(コロナのため各自でランチ)
  • 13時から仕事再開
  • 19時~20時に退社

繁忙期となる4月~5月は集中してアサインされ、かつ残業が毎日2~3時間ほど発生しました。

4月中旬から5月中旬にかけてアサインされるため、この時期は集中的に忙しくなります。

とはいえ、審査資料の作成やクライアントとのミーティングなど科目監査以外の作業がないため、必要な作業に集中できる点で余計な心配事がありませんでした。

肉体的には疲れを感じるものの、精神的なストレスはほとんどありませんでした。

正社員時代とはだいぶ違います。

チーム内でのコミュニケーションについて

非常勤職員なので、上下関係のようなものは少なくフラットな関係でした。

私の場合は、必要以上にコミュニケーションを取ることはなく、業務時間はわりと仕事に集中できました。

そのため、人間関係でのストレスなども感じることがありませんでした。

この点も、非常勤特有のメリットです。

監査法人の非常勤に求められる仕事のレベル

基本的に主査を任されることがないため、「パートナーの日程調整」や「ミーティングの設定」などの業務は求められません。

具体的な業務内容

私の場合は、次の作業を担当しています。

担当する勘定科目など

✓ 単体

  • 未収入金
  • その他流動資産
  • 前受収益
  • 未払金
  • その他流動負債
  • 純資産

✓ 連結その他

  • 連結仕訳
  • 連結キャッシュフロー計算書
  • 仕訳テスト

上記のとおり、監査歴5年以上の会計士が担当するには、かなり難易度の低いものが多いです。

非常勤の職員には、このような難易度の低い科目を任される傾向にあります。

常勤・正社員の場合は、勉強のために難しい業務を割り振られることも多いかと思いますし、正社員だからこそミスがないように頑張りますよね。

ここが常勤と非常勤の大きな違いだと感じます。

仕事をしていて悩むことがあまりないため、精神的なストレスを感じる機会も少なかったです。

求められる監査のレベル

上述したように、非常勤の場合は比較的易しい科目を担当させられます。

また、特に中小監査法人の場合、求められる細かさ・粒度が大きいと感じました。

というのも、大手監査法人ではグローバル基準の細やかな監査が求められるのに対し、中小監査法人ではそのような括りが緩いためです。

たとえば私がEYにいた頃は、P/L項目についても十分な証憑突合をする等のルールがありました。

BIG4は、品質偏重型の傾向が年々強くなっているでしょう

しかし、中小監査法人ではこのような手続きが求められず、良い意味でリスクアプローチが効いていました。

※ 誤解のないように付け加えておくと、決して手続きに「手抜き」があるわけではありません。効率的であるという意味です。

監査に苦手意識のあった私ですが、中小監査法人で働いてみてからは苦手意識がなくなりました。

公認会計士が非常勤をすると、年収1,000万を簡単に超える。

監査法人での非常勤の時給相場は平均7,000円です。

また、監査法人によって時給は4,000円~20,000円まで幅があります。

仮に時給10,000円で契約した場合、1日8時間・年間125日だけ働けば年収1,000万です。

年間125日というのは、一般的なサラリーマンの年間勤務日数(240日程度)の半分ですから、普通の人の半分働けば年収1,000万を達成するということです。

しかも仕事で求められるレベルは先述のとおり。(更新中)

こうした働き方でも年収1,000万を超えるのが、公認会計士という資格なのです。

下記に計算ツールを置いておくので、良かったら実際に年収を計算してみて下さい。

日当・年収計算ツール

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